海岸部や屋外設置の再生可能エネルギー機器において、塩害や湿度による腐食劣化が課題となっていました。
DEMO製造業では、耐環境性を高めるための多層防錆コーティング技術を導入し、長期的な性能安定化を実現しました。



課題
エネルギー機器メーカーD社では、風力発電装置の駆動ユニットおよび制御盤部品において、塩害環境下での塗膜剥離や腐食進行が問題となっていました。
従来の単層塗装では防錆寿命が3年程度で、メンテナンスコストの増加と稼働率低下が課題でした。
アプローチ
DEMO製造業では、使用環境(塩分濃度・湿度・紫外線照射)に応じて防錆層とトップコート層を最適化。
また、膜厚・表面粗さ・密着力のデータベース化を行い、再現性ある処理条件を確立しました。
試作段階では、中間層に無電解ニッケル+エポキシプライマー構造を採用し、中性塩水噴霧試験(JIS Z 2371)で1000時間以上の耐食性能を確認しました。
さらに、工具寿命データベースを構築し、摩耗補正量を自動適用することで、
長時間運転時の寸法安定性を確保しました。
腐食環境条件の分析と塗膜構成パターンの検証。
プライマー層・中間層・トップコート層の最適化をCAEで解析。
試験片を用いた中性塩水噴霧試験・密着力試験を実施し、処理条件を確定。
成果
多層コーティング構造により、腐食進行速度を従来比1/5に抑制。また、表面処理工程の自動化により、品質の均一化と処理コストの低減を両立しました。
改善前
改善後
改善率
防錆寿命
約3年
約8年
約2.7倍延長
塗膜剥離発生率
15%
2%
約87%削減
処理バラつき(膜厚)
±8μm
±3μm
約63%改善
メンテナンスコスト
基準値
約70%
約30%削減
プロジェクト体制
| 役割 | 担当部門 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 主担当 | 表面処理・組立・仕上げ事業 | 防錆コーティング設計・塗膜試験 |
| 技術協力 | 製造設計・工程最適化事業 | 塗膜構造CAE解析・環境条件モデル化 |
| 品質保証 | 開発・設計支援事業 | 試験データ分析・長期耐候性評価 |
お客様の声
海岸設置型の風力設備では塗装劣化が最大の課題でしたが、多層構造のコーティングにより、長期的な安定性が得られました。
特に再現性の高い処理条件管理が、品質保証上でも大きな安心材料になりました。
お客様情報
| 業種 | 再生可能エネルギー機器メーカー |
| 所在地 | 九州地方 |
| 規模 | 従業員 約200名(国内2拠点) |

